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地道な読書推進活動 |
3万4千人の人口ながら公立図書館がない岩手県紫波町では、町の公民館図書室と14の小・中学校の蔵書をデータベース化してネットワークで結び、検索と相互貸借を可能にする図書システムを2000年10月に完成させた。
このデータベースは、小・中学校に通っている児童の母親達が1.5ヶ月かけて入力し、インターネットによって公開されて子ども達が利用できる図書の量を一挙に拡大させたが、同時に町民にも町の11万冊の蔵書(学校7万冊、公民館4万冊)の利用を可能にした。学校休日の土曜日には、小・中学校3校の図書室が一般に公開され、パソコンも自由に利用出来る町民図書館となる。しかし、優れたシステムも活用されなければ意味がない。そこで、このシステムを有効に運営するため、データ入力に携わった母親達は「紫波町ほん太ネット」を結成した。
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毎月発行される
「ほん太ネット便り」 |
「紫波町ほん太ネット」の活動内容は、各校図書室の環境整備、購入図書の選書と受入業務、各図書室間の図書・資料の貸借・移動手続き、読書推進のためのイベントの企画運営、各校の読書祭りへの参加、読み聞かせなどである。これらの活動を通して、児童と本をつなぎ、図書室を暖かな憩いの場にすることを心がけている。また、町内の有線放送で本を紹介し、学校図書室の土曜開放の活動も行っている。ほん太ネットの各学校へのメンバー配置は紫波町教育委員会の意向に添ったものでもある。メンバーは全員がオレンジ色の「ほん太エプロン」を着用することで児童や学校側に安心感を与えている。メンバーは月次定例会議とメールによる相互連絡によって協力と連携を保つ。児童からの新刊書に関する質問や教師からの参考図書の問い合わせなども増え、児童の図書貸出数も年々増加している。
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