受賞者

第48回

人命救助の功績

すだ とおる

須田 龍

(埼玉県)
たかはし しんじ

高橋 伸治

(埼玉県)

2015年6月16日、午後8時36分頃、埼玉県北足立郡伊奈町の豪雨で冠水していた町道を車で走行中の須田さんは、水没した車から自力で脱出した高橋さんに遭遇した。二人は道路の状況を110番通報し、警察官の到着を待つ間に他の車が冠水した道路に進入しないように交通整理をしていたが、迂回させたはずの車が進入して水没し、身動きが取れなくなってしまった。高橋さんが浮いた車を抑えている間に、須田さんが車の窓から中にいた子ども2人を救出し、駆け付けた警察官と共に運転していた女性ともう一人の子どもを救出した。

推薦者:公益財団法人 警察協会
須田 龍
須田 龍
高橋 伸治
高橋 伸治

須田 龍

この度は、社会貢献者表彰式に出席させて頂きそして、大変名誉のある賞までいただきまして、身の引き締まる思いです。そしてとてもたくさんの方に拍手で迎えられ式場に入場したときの感動は今でも忘れる事の出来ない良い思い出です。

6月16日、伊奈町は今まで見たことがないくらいのゲリラ豪雨でした。家でも色々あり少し気分転換で外に出て、車で少し動いていた時にたまたま新幹線の高架下で動いていない車を発見しました。それで自分の車を安全な場所へ停めてからそこへ向かうと一人の男性がいて、その男性の物であろう車はドアの窓の部分まで水が来ていて完全に水没した状態でした。その方がこの後に一緒に救助活動をした高橋さんです。
高橋さんの車は完全に動かない状態でした。交通整理をしないと他の車も水没してしまうと思い、二人で警察官の方が来るまで交通整理をしていました。ただ、その時はあちこちで冠水が起きていて、大変な状況だったようです。

新幹線の高架下が右側も左側も冠水していたので、Uターンをしてもらうように交通整理を二人でしていました。その最中に、「バシャーン」と音がしたので反対側の高架下を見に行ったら、先ほど迂回して帰ったはずの車が水の上に浮かんでいました。
あわてて、高橋さんと二人で見に行くと車が完全に水の上に浮かんでいる状況でした。

正直、車が水の中に入ってからどれくらい時間があったのかは覚えていませんが、車の中で子どもが泣いているのも気づいていたので、すぐに車に向かいました。運転していた女性は完全にパニック状態で、助手席に乗っていた女の子が必死に誰かに電話をしているのが確認できました。まずは電気が通電しているか心配でしたが、運転席の女性にパワーウィンドウを下げてもらうように手で合図をおくりました。そうしたら、運よくまだ通電していたので下がりました。水も私の胸の位置くらいまでありまして流れも多少あり、救出するときに足元をとられてしまいそうでしたので、なるべく近くにあった柵の付近まで車を手で手繰り寄せ、順次子どもたちを優先にして救出していきました。正直、無我夢中で記憶はあいまいですが、一番印象に残っているのは、後ろの席にいた男の子がとても大事そうに抱えている物があって、それを聞いてみたら、大事なカードなんだ!!と言い、どうしても濡らしたくないと必死だったのを今でも鮮明に覚えています。

今思えば、どうしてあのような行動がとれたのかは今でも不思議です。ただとっさに、助けなくちゃと思ったのだと思います。

最後に、私としましてもたくさんの経験をさせて頂き、本当に感謝しております。今後も社会に貢献できるよう努力を重ねていきたいと思います。ありがとうございました。

高橋 伸治

今回、この様な大変名誉な式典に出席させていただいた事を嬉しく思っています。
私以外の人命救助をされた方々や世界で社会貢献のために活躍されている方々の話を聞き、とても素晴らしい事をされているなあと感じつつ、その方達と同席して表彰される自分自身に対して何かおこがましいく、不思議な気分でした。一方でこの様な栄誉ある方々と同席する事で今後の私自身の人生を、より誰かの為に自然と手を差し伸べられる人間になれるように生きていきたいと感じました。

私が今回表彰して頂いた人命救助は、水害の際の出来事でした。職場での仕事を終え車で帰路に向かっていた際、冠水した道路に自らの運転する車を浸水してしまう事から始まります。下手をすると自らも誰かの救助を要する事態になっていたかもしれません。
たまたま、単独であった事もあり冷静を保ちながら、何とか脱出する事は出来たのですが、立地の道路は冠水し車が立ち往生するほどの水嵩になるとは知りませんでした。

その日はとても強い雨が夕方から続き、夜間になってもおさまらない状態でした。見通しが悪く夜間帯ということもあり、水が溜まっている道路かどうかは慎重に運転しても誤る位だったと記憶しております。
自らの車が水没に至り何とか窓を開けて脱出しましたが、路上に出ると水は175㎝ある私の身長の腰から胸当たりまで達しており、とても驚きました。
その後、私達が救助した車に乗っていた方も近所にお住まいとの事でしたが、その場所でこの様な水害が起こる事は予想できなかったかもしれません。

2015年7月4日 読売新聞

いつ何時、色々な災害や災難に巡り合うかはわかりません。もしかすると、その時自分自身もそうなっていたかもと自身の車を水没した私自身は感じるのです。
だからこそ、災難にあった側でも冷静に、困った人が居たら自然と手を差し伸べられる人間で居たいなと思っています。
他の人命救助で表彰された方の話の内容では助けられた人と助けられなかった人の両方を同時に経験される方もいて、とても考えさせられるお話を聞くことが出来ました。

今現在、私は障害者支援施設で働いており多くの助けや支援を必要としている方々のお世話をさせて頂いております。その職場においても、多くの方々が必要とされている事柄に対して自然と手を差し伸べる事が出来る人間でありたいなと今回の表彰を受け、より感じることができました。

今回の社会福祉支援財団の表彰に際して、ご担当者の皆様には大変ご足労をおかけし申し訳ございませんでした。本当に光栄で良い機会を与えて頂き有難うございました。