受賞者

第47回

社会貢献の功績

たきぐち なかあき

滝口 仲秋

(千葉県)

30代半ばで難病を患い、下半身の機能を失って車いす生活となった。千葉県夷隅郡御宿町で平成12年から車いすユーザーの視線で近隣市町村の公的・私的施設のバリアフリー調査を続け、6冊の福祉マップを作製し、さらに他市町村・学校等の福祉マップづくりに協力した。同町の町道・公共施設の設置・改善に当たり、バリアフリー化の視点から関係者に提言することもある。当初は同町だけを調査する予定だったが、夷隅郡全体に広げて調査を続け、マップ作りを行ううち、協力者やマップの希望者も増え、町民のバリアフリー化への意識が高まったり、交通弱者が自力で出入りできる施設が増えた。

推薦者:田辺 義博
滝口 仲秋
幼女を車いすに乗せる・・・ぼくにも役立つことがあった
幼女を車いすに乗せる・・・ぼくにも役立つことがあった

後期高齢の重度障がい者の小さな小さな取り組みに、主催者は目を止めてくださった。感謝あるのみ。

マップ作りのきっかけは、インド・タール砂漠の旅だった。「トイレ休憩」「トイレ休憩」と、何度叫んでもバスは止まらなかった。添乗員が車いすトイレのありかを知らなかったのだ。多少ちびったのは確かだ。

帰国後、マップのない近隣市町村のマップ作りに着手した。平成12年は先進地の地図集め。平成13年から25年まで、6冊のマップを自費で出版できた。

  • 夷隅郡市福祉マップ(H13)
  • 鴨川市(H17)
  • 長生郡(H18)
  • 御宿町(H20)
  • 大多喜町(H20)
  • 御宿町(H25)
  • (掲載内容は下記HP参照) 

印刷・製本を除き、調査項目の設定、調査の実施、ワープロやパソコンへの取り入れ 印刷屋との交渉、マップの配布等、すべて独りで行った。調査は、自らが出向き関係者から聞き取りを行い、実際に観察し、車いすユーザーの視点でまとめた。

最新版の御宿町マップは、公益的施設・食堂・洋品店などを網羅した。その他、新規にAED(自動体外式除細動器)の設置状況や避難場所を掲載した。マップは全て非売品で、最新版は御宿町社会福祉協議会で増刷してくれた。出来上がったマップは、高齢者・障がい者などの交通弱者に優先的に配布した。そんな人たちの外出に大いに役立っていると自負している。行政に携わる人・店舗の持ち主も関心を持ってくれ、施設設備の改善に努めてくれた。

独りでマップを自費出版したと言えば、噂にのぼる。でも周囲の人たちの協力抜きには、マップ作りは続けられなかったと断言できる。ましては個人情報保護条例が成立した平成15年の前後だ。はじめは、車いすユーザーの行動に警戒心が高かった。でもマップの必要性を時間をかけて説明をすると、行く先々、多くの人たちが賛同の手を挙げてくれた。

《ぼくにも役立つことあったんだ》《ぼくだから役立つことがあったんだ》と、利他の気持ちが生まれ、ボランテアのはしくれになったような気がしてならない。住んでいる御宿町は、高齢化率千葉県一だ。高齢者を含めたより多くの交通弱者が、街中を闊歩できるよう、さらに充実したマップを誕生させていくつもりだ。

  • 障害者作業所での手伝い・・・ぼくにも役立つことがあった
    障害者作業所での手伝い・・・ぼくにも役立つことがあった
  • 施設・設備のバリアフリー化を調査し、パソコンで開示する
    施設・設備のバリアフリー化を調査し、パソコンで開示する
  • 御宿町を中心とする町のバリアフリー状況を冊子(福祉マップ)にまとめる
    御宿町を中心とする町のバリアフリー状況を冊子(福祉マップ)にまとめる
  • 他市町村の福祉マップ作りに協力する
    他市町村の福祉マップ作りに協力する
  • マップの効能か、町内の施設に休憩用いす・車いす用トイレ等が増えた
    マップの効能か、町内の施設に休憩用いす・車いす用トイレ等が増えた
  • 施設・設備の改善について担当課長と話し合う
    施設・設備の改善について担当課長と話し合う
  • 海岸遊歩道の35センチの段差がなくなる(写真:町役場提供)
    海岸遊歩道の35センチの段差がなくなる(写真:町役場提供)
  • 県知事から認定書をいただく
    県知事から認定書をいただく