受賞者紹介

第53回 社会貢献者表彰
おかやまほうそうかぶしきがいしゃ

岡山放送株式会社

(岡山県)
岡山放送株式会社 アナウンス部 篠田 吉央
アナウンス部 篠田 吉央

岡山・香川を放送エリアとするフジテレビ系列の岡山放送は1993年から福祉をテーマにした手話付きのニュース特集「手話が語る福祉」を毎月放送している。聴覚障害者を取り上げたニュースを同じ障害がある人にも見て欲しいと画面に手話を入れたのがきっかけだが、健聴者に聴覚障害者を理解してもらうための放送にしようと、聴覚障害者の言葉である手話にこだわり、聴覚障害者自身がカメラの前に立ち手話を表現。歴代の担当キャスターも手話を学び毎回リポートしている。また、手話放送を持続可能なものにしようと、聴覚障害者・手話通訳者・テレビ局の3者で手話放送委員会を立ち上げ手話表現の検討を行っているのも特徴で、手話放送普及のモデルケースとしても期待されている。放送エリアを越え手話放送を届けられたらとインターネットのニュースサイトでの配信に乗り出したほか、手話講座の実施、手話を使った歌の制作にも挑戦していて、「手話は言語」であることを発信し続けている。

音のない世界に生きる人たちにとって「手話は言語」であり文化です。

しかし、2011年に障害者基本法が改正されるまで、日本では手話の言語性は公に認められていませんでした。聾学校では長年手話が禁止され、口の動きから言葉を読み解き発音する口話法による教育が行われていました。身体的に劣る聴覚障害者は自身の努力で健聴者に歩み寄らねばという社会があったのです。

そんな中、岡山放送では、1993年から福祉をテーマにした話題を手話表現付きで伝える月1回のニュース特集「手話が語る福祉」の放送を開始し260回以上の放送を行っています。聴覚障害者を取り上げたニュースを同じ障害がある人にも見て欲しいと画面に手話を入れたのがきっかけでしたが、健聴者に聴覚障害を理解してもらうための放送にしようと、聴覚障害者の言葉である手話にこだわり、聴覚障害者自身がカメラの前に立ち手話を表現。また、歴代の担当キャスターも手話を学び毎回リポートしています。

最大の特徴は聴覚障害者・手話通訳者・テレビ局の3者で手話放送委員会を立ち上げ手話表現の検討を行っていることです。基本1度しか見られないテレビ放送において瞬時に意味が伝わることは使命です。このため的確な表現を見つけるために3者が毎回議論を重ね本番に臨み、放送後も検証を行ってきたことが岡山放送の手話放送を持続可能なものにし25年以上継続することが出来ています。

障害者への不妊手術が強制された旧優生保護法について取り上げた際には、法律の条文も手話で解説しました。「不良な子孫の出生を防止する」の「不良」をどう表現したらいいのか。自分たちを「不良」だと定めた法律に怒り、悩み、議論の末に生み出された感情のこもった手話は画面からも伝わり、放送後には、「聞こえのいい法律名に惑わされていた」という聴覚障害者からの声も届きました。情報不足に陥りやすい聴覚障害者ですが、「手話」だからこそ法律の細部まで伝えられ当事者が問題に向き合えたと思いますし、感情が伝わったのも手話が言葉だからこそだと信じています。

放送開始当時に比べると、字幕放送の普及が進み、聴覚障害者がテレビから得られる情報は飛躍的に増えました。しかし、「手話が語る福祉」ではそのタイトルが示すよう画面に手話表現を入れることにこれからもこだわります。これは単なる情報提供だけでなく、手話を言語として生きる聴覚障害者とテレビを共有することの象徴だと思いますし、障害の種類や有無に関わらず、テレビの前にいる全ての人に正確な情報を伝えたいという岡山放送のメッセージになると捉えているからです。

今回の受賞で、私たちが地道に続けてきたローカル局での取り組みが、「手話放送普及のモデルケースとして期待される」と評価頂けたこと、本当に感謝申し上げます。岡山放送では受賞を機に、放送エリアを越え手話放送を届けられたらとインターネットのニュースサイトでの配信に取り組んでいるほか、手話講座の実施、聴覚障害者向けの防災DVDの制作、手話を使った歌の制作にも挑戦しています。

「25年かけ築いてきた聴覚障害者との絆」

バリアフリーな社会の実現を目指し、私たちはこれからも「手話が語る福祉」から手話の輪を広げていきたいと思います。

アナウンス部 篠田 吉央
「手話が語る福祉」担当キャスター

  • 第一回放送
    第一回放送
  • 手話収録風景
    手話収録風景
  • 岡山市の手話言語条例可決
    岡山市の手話言語条例可決
  • 篠田キャスター
    篠田キャスター
  • 手話放送委員会
    手話放送委員会
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」