受賞者

第49回

社会貢献の功績

かぶしきがいしゃ くらろん

株式会社 クラロン

(福島県)

福島県福島市に1956年に故田中善六氏によって創業されたスポーツウェア製造販売会社。「職業を通じて社会に奉仕する」をモットーに、創業以来、障がい者、高齢者、女性の正規雇用に積極的に取り組んでいる。特に社員134人の内、36人が障がい者で、全員正社員として迎えている。県内トップの実雇用率。また、女性社員が100人。60歳以上の社員は24人、最高齢は81歳の女性営業課長。60歳の定年以降65歳まで再雇用制度は勿論、その後も健康で勤労意欲のある社員は、希望するまで一年毎に引き続き延長勤務が可能。国籍、年齢、障がいなどにこだわりのない雇用により会社を運営している。

推薦者:特定非営利活動法人 チームふくしま
株式会社 クラロン 代表取締役会長 田中 須美子
代表取締役会長 田中 須美子
クラロン外観
クラロン外観

29年6月、社会貢献支援財団の専務理事、天城一様が社会貢献者賞の候補企業として当社に訪問頂いた時、実は当社が期待に添えているか、又、資格があるかと不安な思いでございました。そして9月、正式に第49回社会貢献者表彰の受賞通知書が届いた時は、信じられない喜びでございました。表彰式は厳粛なうちにも温かい雰囲気の中で安倍昭恵会長より表彰状を頂いた時は緊張と感謝で一杯でございました。そして、頭の中は、今の基礎を築いてくれた亡き主人と従業員の顔が去来いたしました。

当社は1956年亡き主人と共に17人の従業員でスポーツウェアの製造販売会社として創立しました当初から障がいを持つ子が3人入社しておりましたから障がい者雇用は自然でした。現在は、従業員135名中、重度の11名を含む36名の障がい者、女子は100名、高年齢者は60歳以上が22名で最高齢は82歳の女性営業課長です。納入先は、東北6県と北関東の学校約1,100校、その他、病院、企業等です。

昭和46年、主人が支援学校、養護学校、特殊学級の子どもたちの就労を図ることを目的として各企業と協力し、障がい者の雇用促進をめざし「福島職業能力開発研究協議会」を設立、現在46年を迎えて尚活躍しております。

又、各中学校より1週間から2週間程度、職業実習生として受け入れを行い、障がいを持つ子どもたちが実際に社会へ出る時、職業の選択や心構え等の参考にして頂いています。小学3年生の社会科副読本(市教育委員会編)の「工場のしごと」に当社工場が5頁にわたり掲載されていることもあり、見学は毎年10校ほど見学に来ています。

昭和31年創業以来、二人三脚で共にこのクラロンを立ち上げて来た主人が、平成14年に突然亡くなりました時、私は絶望のあまり、立ち上がることが出来ず、自分自身も病に倒れ会社を続けて経営してゆく力を失いました。しかし、数か月後、意を決して社長を引継ぎ、工場に出勤した時、K君が駆け寄ってきました。K君が入社したのは平成3年で応募書類には「自閉症的傾向があり、情緒不安定で時々奇声をあげ職場内では理解が必要である」と書かれてありました。以前の就職先もこのことで解雇されたとの事で、かねてから障がいを持つ子どもたちの就職に熱心な先生の熱意に動かされ採用しました。彼の仕事は仕掛製品の整理をしてもらう事にしました。しかし、やはり一番問題になったのは何度となくあげる奇声、それも工場中に響く大声と踊る動作に一同が仕事を中断する様な有様でした。

そこで、主人は名案を考えました。それは倉庫に入って2人だけで大声を出し合うということでした。すると、彼はさっぱりした様子で仕事に戻るという動作を2年間続けました。其の後、奇声をあげることも踊ることも徐々になくなったのです。そして、今度は新たな動作が生まれました。それは主人が精神的に落ち着かせる為に思い付いたのですが、彼を抱き寄せトントンと肩を叩いてあげる事でした。彼は主人を見つけると走って来て催促し、肩を叩いてあげると、ニコニコして仕事に就いておりました。このことは、主人が入院するまで続きました。私はその動作はそれで終わったと思ったのです。ところが、彼は私を見つけると、肩々と言いながら寄って来て突然大きな声で「社長さん頑張って」と言ったのです。この子からこの様な優しい励ましの言葉をかけられると思わなかった私は、一瞬びっくりして立ち止まり、そして我に返って主人の思いをこめて彼の肩を「ありがとう」と叩いてあげました。この子は自分を可愛がってくれた社長が亡くなったこと、主人を亡くした私の哀しみをどう慰めたらよいかを彼なりに考えていて私を待っていてくれたのだと思うと、その途端胸が熱くなって涙が止まりませんでした。その時、私は亡くなった主人の思いは、この子に伝わっている。今、彼を通じて主人の命は間違いなくK君の心の中に成長していることを感じました。そして、私は立ち直ることが出来ました。この子どもたちのお陰です。私がこの子どもたちを助けていたのは間違いで、この子どもたちから癒され守られ生きているのは私の方だったと気が付いたのです。

現在、故主人の理念である「職業を通じて社会に奉仕する」をモットーとし障がい者・女性・高齢者にやさしい会社、楽しく働くことの出来る会社を目指して頑張っております。

ありがとうございました。

株式会社クラロン
代表取締役会長 田中 須美子

  • 工場内
    工場内
  • 工場内全景
    工場内全景
  • 刺繍室
    刺繍室