受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

リスマイルプロジェクト

(東京都港区)
リスマイルプロジェクト 代表 押田一秀
代表 押田一秀

3月14日に設立以来、被災地にエンターテイナーを派遣してパフォーマンスショーを開催している。12月までに50ヵ所以上250回を越える公演を開催した。エンターテイメントという、震災直後は反発の多い内容の活動であったが、「震災後はじめて子どもが笑うのを見た」という声が行く先々であがった。「エンターテインメントの提供」「支援マッチング」「コミュニティ創出」を軸に復興を視野に入れた街づくりにも関わり、現地団体や行政とも連携し、支援物資や炊き出しのマッチング、被災エリアへの企業誘致を行い、創出したコミュニティの経済活性化と雇用創出につなげる活動を継続している。

推薦者:NPO法人 相馬はらがま朝市クラブ

震災直後、日本の東半分から笑顔が消えた。子供たちは自由に遊ぶことはおろか、笑うことにすら躊躇う異常な状況が東北を覆っていた。"楽しむこと"に罪悪感すら覚え、暗澹とする親の顔色を窺いながら独り遊びに没頭している子供たちの姿は痛々しかった。

 

2011年3月14日、数人のパフォーマーとともに「リスマイルプロジェクト」が立ち上がり、笑顔復興のため、被災地でのパフォーマンス活動をスタートさせた。炊き出し会場、避難所、学校、保育所、公園、イベント...人が集まる場所に笑顔を届け、震災より1年間で350回を超える被災地パフォーマンスを実施し、約150組のスマイルアーティストが東北に足を運んでいる。

さらに、エンターテイメントを切り口としたコミュニティ支援に力を入れ、そこに集う人々が生きる歓びを得るための活動を展開。自殺をはじめとする震災関連死・孤独死を防ぎ、住民同士での結束を強めるための手段となることを目的に活動を続けている。

 

震災より1年が経過し、支援も次のフェーズへ。「ヒト・モノ・カネ」の支援から「ヒト・コト・シクミ」の支援が重要となる時期に移行したと考え、リスマイルプロジェクトでは、コミュニティを構築する活動から運営をする活動へ、必要な物資を集める活動から生産するための基盤を作る活動へ、ボランティアスタッフを派遣する活動から雇用を創出する仕組みを作る活動へと、ニーズに合わせて支援の幅を広げてきた。

福島県相馬市には復興拠点とすべく「復興支援センターMIRAI」を設置し、復興に関する市民相談窓口を運営。相双エリアを中心に原発被害に苦しむ人々に対する安全な飲料水の確保や、その土地に残る子供たちの遊び場を提供するなど、より地域に密着した支援を実施している。

同時に、被災地の現状を全国に発信すべく啓蒙イベントを開催し、風化の防止に努めている。

 

パフォーマンスに笑顔を見せた
被災地の子どもたち

コミュニティ支援の活動は今後さらにニーズが高まるものだと確信している。時間とともに活動を緩めるのではなく、より真摯に被災地住民と向き合い、心からの笑顔が行き交うまで何十年でも必要な支援を続けていく決意である。

 

最後に、リスマイルプロジェクトを支えてくれている多くの方々にこの場を借りて御礼を申し上げます。スマイルアーティストとして被災地に通い続けてくれているアーティスト・パフォーマーの皆さん、献身的に協力してくれているボランティアの皆さん、活動を支えてくれている全国の協力者の皆さん、本当に有難うございます。コミュニティ支援はこれからが本番となり、リスマイルプロジェクトは東北復興に必要な"笑顔"を生み出す活動を続けてまいります。今後とも変わらぬご協力をお願いいたします。