受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

せと ひろやす

瀬戸 裕保

(61歳:宮城県仙台市宮城野区)
瀬戸 裕保

仙台市宮城野区で、自宅の二階に避難していたところ、長女が助けを求める女性の声を聞いた。二階の北側の窓から見ると、作業小屋の屋根上あたりに女性が浮かんでおり、ベランダの手すりに避難ロープを結んで女性の所へ降りていった。女性をロープにつかまらせ、下から押し上げ、上から長女が女性を引っ張り上げ救助した。

推薦者:新浜町内会 会長 平山 新悦/仙台市宮城野区

多分、震災直後の16時前後だったと思います。津波で濡れた服を着替えて2階へ避難しホッとしていた時、長女が「お父さん、助けて」と言う声が聞こえたと言うので、北側の窓を開けると、作業小屋の屋根の上あたりに、娘さんが浮かんでいるのを発見しました。

右の屋根で女性を救助

ちょうど足を延ばせば、作業小屋の屋根に足が着くと思い、娘さんに「足を伸ばして立つように」と伝えました。それから、屋根伝いに南側に行くようにと声を掛けました。

私は、娘さんが、南側に移動するのを確認してから、2階に常備していた救難用のロープを取りに向かいました。ロープをベランダの手すりに結び付け、娘さんの方にロープを投げ、救出するために私自身が、降りていきました。

娘さんは、だいぶ憔悴していたので、一応、ロープを掴ませ、尻の下にロープを置き、娘さんの臀部を押し上げ、ベランダにいる長女が引っ張り上げる手段を試みましたが、ベランダの壁が高く、思うように力が入りません。長女が、踏み台になる代替え品を持ってきてくれて、下からは、私が再度押し上げて、ようやく娘さんを引っ張り上げることが出来ました。

当時、私を含めて家族は4人いましたが、父と母は、部屋の中で待っていて、助かった娘さんの着替えと、カイロを数個身体に貼り付け、寒くないようにしてくれました。

ここを通って隣の作業小屋へ

10分後位に「寒くないか?」と聞いたところ「寒い」というので、濡れた頭を拭き、毛布をかぶせました。30〜40分過ぎた頃から少しずつ、会話をするようになったので、これで大丈夫と思いホッとしました。

昨年の暮れ頃、友人に「人命救助したんだって」と言われ何か恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちになりました。

当初、私達は家が壊れると思い、ビニールハウスに避難グッズやラジオなどを持ち込んでいました。ただ何故か、家の中の片付けをしようと玄関に戻ったところ、津波がきて、何が何だかわからないうちに、あの娘さんを助けていました。

今回の災害で、救難用のロープなど防災用品を準備しておくことが、無駄ではないということを、痛感しました。また、人の気持ちのありがたみを改めて感じました。

受賞については、これで頂いて良いのだろうかと思いながら手記を書いております。今後は、更に「(周囲の人々の様子を)気に掛ける事」や「思いやり」を大切に生きていきたいと思っています。