受賞者紹介

平成21年度 社会貢献者表彰

人命救助の功績

せんな せいじろう

故 仙名 清次郎

(享年 57 歳/長野県東筑摩郡)
仙名 清次郎
平成 20 年 4 月 12 日午前 10 時 45 分頃、長野県木曽郡の西野川(川幅約 30 メートル、水深約 1 メートル)で、魚釣りをしていた一家 3 名の内、父親(48 歳)と男児(9 歳)が河川に流されたという騒ぎを聞きつけ、仕事で近くにいたところから、親子を救助しようと雪解けなどで水量の増した川へ入ったが、500 メートル程一緒に流され男児とともに命を落とされた。
推薦者/全国消防長会
男児が漂着した付近

当日は、 春らしい暖かな朝であった。木曽町三岳の太陽の丘公園横を流れている西野川での出来事であった。仕事で前日より木曽に行っていた主人は、午前の一仕事を終えて休憩を取りに行った公園で事故と遭遇した。

母親の「助けて!」という叫び声で流されている子どもを追いながら土手を走り、助けられそうな所で土手の石垣を下り、手を延ばした。しかし雪解け水で流れが速くて届かず、コート、上着を脱いで川に入った。助ける事に夢中で雪解け水の冷たさ、流れの速さに自身の危険を思う間すらなかったのであろう。

母親の叫び声で売店、神社、工事中の方々が流されている主人を下流で引き上げ、人工呼吸等手をほどこしてもらったのであるが、すでに息はほとんどなく、病院で死亡が確認された。

私は、病院からの先生の声に耳を疑った。絶対にそんな事はない。万が一事故にあったとしても主人は生きている。希望を持っていた。「一人では絶対に来てはいけませんよ。」と言われ娘夫婦、孫と病院へ向かった。

ベッドで冷たくなった主人と会い信じられず、かける言葉すら失っていた。すぐに病院の先生からの説明、警察による事情聴取、親戚への連絡など泣いている間もなかった。病院のベッドでは苦しそうで黒い顔をしていた主人であったが、家に戻って来たら穏やかできれいな顔になっていた。近所の方々、友人、知人、親戚と次々に最後のお別れに来て、皆さん口をそろえて言われた言葉は、「仙名さんらしい最後でした。」とおっしゃって下さった。

すぐには遺族にとって最後の言葉もなく、突然の出来事で事実として受け止める事が出来なかった。一年半経過した今では、主人の正義感の強さ、短かかったけれど精一杯生きた姿に敬意を表し感謝している。

(妻・仙名 千恵子)

親子が中州に渡ろうとして足を滑らせ流された付近
救助に向かった場所

Mr. Seijiro Senna

(was 57 year old, Nagano, Japan)
At about 11a.m on April 12, 2008 Mr. Senna came across a father and son who were drowning after falling into the Nishino River in Nagano while fishing with their family. He tried to rescue them but unfortunately was swept away and died with the 9-year-old boy. The award for his bravery is given posthumously.
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