受賞者紹介

平成18年度 社会貢献者表彰

第三分野/特定分野の功績

海の貢献賞
にしの ひろし

西野 弘

(昭21. 6. 30 生)長崎県佐世保市
西野 弘
韓国、中国の台頭が目覚しい造船業界において、船舶の重要なパーツであるクランク軸の加工に30年以上にわたり従事するとともに技術・技能の継承を積極的に行い、我が国の造船業に貢献している。
推薦者:(社)日本舶用工業会

受賞の言葉

舶用機器の製造に携わってきた旋盤工を栄えある社会貢献者として表彰して頂きまして心より御礼申し上げます。推薦頂きました関係者各位また、職場の皆様の御支援御協力に感謝致しております。今後、微力ではありますが、クランク軸加工の技術技能をさらに高め工夫して継承に務めてまいりたいと思います。ありがとうございました。

大型組立式クランク軸加工

佐世保重工業株式会社(佐世保重工)は、船舶造修業を主たる業目として1946年に設立された。1957年には、造機部門で舶用ディーゼルエンジン用鍛造組立式クランク軸の生産・販売を開始し、現在までに二千本を超える納入実績を誇る。現在、組立式クランク軸メーカーは国内に僅か3社、同社は、国内需要の約4分の1を供給し、業界第2位である。

西野さんは1968年に佐世保重工に入社、造機部機械係に配属され、一貫して旋盤加工に携わってきた。特にクランク軸製造の最終工程にして、最も高度な技能が要求されるクランク軸加工旋盤の作業は、クランク軸をエンジン内で回転している状態にするため、振れ止め(受け台)で軸部を受けて仕上げ加工する。このためクランク軸の腕の間に身体を置き、緊張感の持続を必要とする特殊な環境下での作業に従事している。

現在の製造現場は、高度にNC化が進められている。しかしながら、エンジンの連続負荷運転時に軸部の焼き付きを起こさないためには、100分の1mmの精度が要求される。これを生み出すためには、永年の「経験」と「勘」に頼らざるを得ない聖域が多分に残されている。特に、デフレクション(振れ)を極限にまで抑え、加工精度を向上させる技は同社内でも西野さんの右に出る者はいない。

西野さんは、繁忙を極める職場の中に在りながら職場の先頭に立ち、生産性の向上に寄与している。また従来は10年かかると言われたクランク軸仕上げ技能者の養成を、作業手順のマニュアル化などを積極的に進め、5年前後を目標に若手技能者の育成・指導にも精力的に取り組み職場の人望も厚い。

大型組立式クランク軸

Mr. Hiroshi Nishino

(born June 30, 1946) Sasebo City, Nagasaki Prefecture
Mr. Nishino has worked for over 30 years to fabricate crankshafts that are important ship components in the shipbuilding industry where South Korea and China are rapidly emerging. He has also contributed to Japan's shipbuilding industry by actively passing on his skills and techniques to younger workers.
Recommended by Japanese Marine Equipment Association