受賞者紹介

平成16年度 社会貢献者表彰

第三分野/特定分野の功績

海の貢献賞
ひらみつ しげお

平光 重夫

(昭19.10.18生 60歳/岐阜県各務原市)
平光 重夫
昭和40年代の大型タンカー(VLCC)、大型コンテナ船、LNG船、大型客船の建造に伴い、搭載される発電機、電動機も大容量化される中で、最も大形部品であるフレームの旋盤加工技術の考案、改善に取り組み、高度な技術を確立すると共に技能の伝承に貢献されている。
推薦者:大洋電機(株)

受賞の言葉

今回、名誉ある賞を受賞できました事は諸先輩及び、同僚、会社各位のご協力に支えられての賜物と深く感謝しております。
今後、更にチャレンジ精神を持ち、旋盤一筋40数年の経験を活かして後輩に技術の伝承をしていきたいと思っています。

昭和35年、平光さんは中学卒業後、大洋電機(株)岐阜工場に入社し、旋盤係に配属された。発電機、電動機のフレームは鋼板溶接構造で製作される最も大形の部品であるが、剛性(丈夫さ)が低い上に構造的に断続加工が多く、加工時の振動防止、チャッキング(加工物の固定)、バイト(切削用切れ刃をもつ工具)の形状などに多くのノウハウを必要とした。当時はハイス鋼バイトで周速(加工部分の回転速度)、送り速度、切り込み量を下げ長時間かけて加工していた。平光さんは、その方法に疑問を持ち、既に先輩が多数挑戦して果たさなかったその改善に取り組み、粘り強く研究、試行錯誤を続け、遂に完成させた。その刃形状は常識を覆すブロック形状に近いものであり、超硬標準周速で切削しても欠損することも無く、刃持ちも長く、驚くほどに画期的な仕上がりを示した。さらに、断続加工ならば粗削り、中削り、仕上の3工程を一度で旋削する工法とバイトの取付治具を立案した。結果は予想以上で、新型バイトと3本バイト取付治具の組み合わせで以前の10倍の加工時間の短縮を達成した。世の中はNC(数値制御方式機械)化、刃物のスローアウェー(交換替刃)化へと進んだが、今でも平光さんの考案したものに勝る方法はなく、機械メーカー、刃物メーカーも絶賛している。