受賞者紹介

平成14年度 社会貢献者表彰

第三分野/特定分野の功績

21世紀若者賞
よしみ ひかる

吉見 ひかる

(昭48. 1.21生)愛知県愛知郡長久手町/エルサルバドル
吉見 ひかる
平成4年からオリーブジャパン国際開発協力協会に参加。6年に日本での仕事を辞めてエルサルバドルに渡り、現地の孤児救援センターにて、孤児たちと生活を共にしながら、日常生活の指導、自立のための職業指導などにあたっている。
推薦者:市瀬 英昭

吉見さんは学生時代、中米エルサルヴァドルの内戦で両親や家を失い、路上で生活する子供たちや虐待を受けて孤児院に駆け込む少女たちのために活動している若者たちに出会い、貧困に苦しみ、教育を受けられない子供たちの存在を知った。平成4(1992)年、NGOオリーブジャパン国際開発協力協会の活動を知り参加。チャリティーバザー、講演会などの収益金で、サンサルヴァドル市にストリートチルドレンを無償で救援することを目的とした孤児救援センターをつくる活動が始まった。

平成6(1994)年に日本での仕事を辞め、現地スタッフとして働くことを決意した。現地のカウンタパートであるエルサルバドル奉仕協会(FOPROBESA)の仲間と共に、孤児救援センターで家を無くした孤児たちと一緒に生活し、料理、洗濯などの日常生活の細かな部分からの指導にあたった。また同センターに、社会で働く技術を身につけるための裁縫講座、コンピューター講座を開催した。吉見さんが事業を継続するにつれ、周囲の学生や現地人スタッフの協力が広がり、これら活動は地域に根ざすものになった。

1998年、隣の国ホンデュラスに大型ハリケーンミッチが襲い、多くの犠牲者を出した時も、吉見さんは仲間と救援に駈けつけた。イタリアのNGOと連携し被災と貧困で学校に行けない子供たちのために「エスクリエータ・デ・ソル(太陽の小さな学校)」を設置した。

2001年にはエルサルヴァドルを大地震が襲い、内戦の傷痕が癒えない同国に追い討ちをかけるように犠牲者が出た。震災直後、吉見さんはすぐに日本の友人に呼びかけ、緊急支援活動を開始した。家、家族、希望まで失ってしまった人々、悲しみ、恐怖を抱える子供たちに少しでも安心して喜びを感じられる場所が与えられるようにと、最も被害が大きかったサンタテクラ市の避難所に小さな教室をつくった。現在、避難所は移動されたが、吉見さんと仲間たちは被災した子供たちを慰問し、生活に追われている親たちに代わって、保健衛生指導や教育、心のケアに休むことなく働いている。そして、この被災救済活動をきっかけとして、避難所で出会った若者と貧困地域に住む若者を対象に、民芸品作りの講座を開講した。貧困により、犯罪を繰り返し、心が荒れていた若者たちが自立し、前向きに生きていくための一歩となるものである。7年間におよぶ、彼女の人間と人間との絆を結ぶ活動は、形を変えながら続いている。