受賞者紹介

第53回 社会貢献者表彰
とくていひえいりかつどうほうじん りとるわんず

特定非営利活動法人 リトルワンズ

(東京都)
特定非営利活動法人 リトルワンズ 代表理事 小山 訓久
代表理事 小山 訓久

2009年から東京都杉並区を拠点に小山訓久さんによってはじめられた母子家庭と子どもたちを支援するNPO法人。主な事業として、母子家庭の就労支援、住まいの提供、情報支援、子どもの体験の格差をなくすために習い事に特化した補助金を贈る「小さな一歩応援プロジェクト」の実施、毎月開催される子どもたちのためのイベント、子育て中の親子が利用できる「親子カフェほっくる」の運営がある。
活動のきっかけは、約10年前、テレビ番組の制作をしていた小山さんが約100人の母子家庭にインタビューして、その実情を知ったこと。メディア業界を辞めて、母子家庭支援のNPOを発足した。当時は、子どもの貧困が注目される前であり、母子家庭の窮状にも理解を得られにくかった。その後、住まい探しが難しい母子家庭と、社会問題であった空き家の解決を1つにつなげ、全国に先駆け空き家、空き室を活用した支援モデルを構築。母子家庭に特化した居住支援を行う「居住支援法人」として東京都より指定をうけ、優れた居住支援モデルを作ったことにより、World Habitat Awardsの2018年最優秀賞を受賞した(日本の受賞は16年ぶり)。
これまでに300件以上の家庭に住まいを提供し、10年間で2,000件以上の相談を受けている。会員は約1,600人。全国からの相談に対応している。

この度は、NPO法人リトルワンズに歴史ある賞を頂戴したことに、大変栄誉を感じております。長きにわたり、子ども、女性の支援を行ってこられた諸先輩方のご尽力があったからこそ、リトルワンズのような若い団体も活動できております。誠に感謝申し上げます。

10年前は、「日本の子どもの貧困」について、ほとんど知られていませんでした。知られていない社会問題に対して、行動を起こすことも、男性が女性の支援団体を作るというのも大変珍しがられました。活動についても、ご理解をいただけないことは多々あり、失敗も一度や二度ではありません。たった1つの冴えたやり方などなく、状況に応じて、出来ることを選択して、行動する。あとで間違いに気付き、後悔する。その繰り返しでした。お母さんと子どもたちの喜ぶ顔を見て、良かったと思いつつも、「はたして本当に良かったのだろうか」と反省をする日々。本当に頼りのない団体でした。一方的な支援ではなく、母子家庭のお母さんと子どもたちと一緒に考え、フェアな関係で、「今」必要な支援を共に作っていく。そのようなスタイルが出来たのは、最近です。関係性の積み重ねがあったからこそだと信じています。

現在、ニュースでは「子どもの貧困」について取り上げられることが多くなり、支援団体も増えて参りました。かつては想像もできなかった状況です。ところが、子どもの貧困、女性の貧困は未だ解決はしていません。私ども、現場の団体の力不足を感じておりますが、同時に、再考の時期だと思っています。子どもの貧困には、特効薬はありません。1つの方法、1つの団体で解決できるものではないですし、1つの行政で全ての支援を担うことも現実的ではありません。子どもと母親を取り囲む複数の状況に対して、複数の団体が、それぞれに解決を提案。そして、その解決が有機的につながっていき、地域に合ったカタチでの実装していく。

リトルワンズは、「住宅」と「情報」について、ある程度の解決策を提示してきました。また、「体験の格差」についても、いち早く警鐘を鳴らしたと自負しております。「教育」「運動」と他の分野でも解決を提示しているNPO法人はあり、日本全国で、地域に合ったカタチで活動をしている団体も多くあります。私は、子どもの貧困、女性の貧困の解決を諦めてはいません。それぞれの団体がもつ「想い」と「技術」が繋がっていくことを大いに期待しています。そして、そのような団体を発掘し、繋げてきたのが、公益財団法人 社会貢献支援財団です。その意義と実践に対して、ここに謹んで感謝と敬意を示します。

代表理事 小山 訓久

  • 夏の流しそうめん
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  • 山中湖旅行
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  • 国連ハビタット授賞式後
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  • 住まいを得た子供からのお礼の手紙
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